« 美容外科と形成外科は別物か | トップページ | 美容外科における「カウンセリング」なるもの »

美容外科の症例写真に意味はあるのか

美容手術の相談にこられる患者さんの多くが、「症例写真を見せてください」といいます。いわゆる形成外科的な(傷跡を治したりできものを取ったりという)手術の時にはあまりみられないことです。

多くの美容外科クリニックが「術前・術後写真」で客寄せをしているために、徐々にそうした風習が全国的に広まってしまったのでしょうが、果たして他人の写真を見ることがそんなに大切なことでしょうか。

患者さんにとっては、今目の前にいる医者が「へたくそな医者でない」という確証が欲しいのかもしれませんが、「症例写真」がその医者の技術を証明してくれるものでしょうか。

形成外科的な症例写真といえば、新しい技法を開発したとか、非常に珍しい病気であったとかいう場合に、学会で発表するためのもの、というのが一般的であるように思います。それは医学の発展のために大切なもので、見せる相手も同業者(それもその分野の専門家を含む非常に偉い先生方が混じっている)ですから、いい加減なものは出せないし、それなりに意味があると思います。

では、美容外科のホームページに載っている「ビフォー・アフター」の写真はどうでしょう。

あれは、レストランのメニューに載っている写真やショーケースのロウ細工の見本と同じだと思います。それなりに手術のイメージはつかめるけれど、実際に出てくるものはずいぶんお粗末だったりすることは、皆さんも何度も経験済みでしょう。

その写真にしても、素人目にも怪しい写真も多いことは皆さんご存知のとおり。きれいな仕上がりだとしても、それがたまたまうまくいったその先生の最高傑作かもしれません。

つまり、(症例写真が何の細工もない真実の写真だと仮定して)あの写真が示すものは、「そうした手術を行っている」「中にはうまくいっている人もいる」ということだけです。

手術は生身の人間に対して行うものなので、患者さんによって条件が違い、一人ひとり別々の難しさを内包しています。誰か別の人がうまくいったからといって、自分の場合にうまくいくという保障は何もありません。そうした場面で大切なことは、「誰か別の人の写真を見ること」でしょうか。

もしその施設で手術した全員の術後写真を見ることができれば、的確な判断も可能でしょうが、実際にはそんなことは不可能です。

そうではなくて、手術する医者と向き合って、自分の悩み・希望を的確に伝えること、それから、その医者の腕前や手術に取り組む姿勢をきちんと評価すること、信頼できると思ったらその医者に任せること、そうしたことが大切なのではないでしょうか。

では、医者の腕前を評価するときに大切なことは何でしょうか。わたしは、

1) その医者がまっとうな経験をつんできているか

2) 直感的に信頼できそうか

の2つだと思っています。特に2番目、直感は信じるべきだと思います。なにかしらの怪しさ、胡散臭さを感じたら、そこでは手術しない。それが「症例写真」にだまされないコツではないのかなあ、と考えています。

|

« 美容外科と形成外科は別物か | トップページ | 美容外科における「カウンセリング」なるもの »

美容外科」カテゴリの記事