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下まぶたの脂肪を抜く(2)

脂肪を切除すればふくらみが改善すると考えている医師は、「脂肪を切除しても特に悪影響はない」「他の手術に比べてダウンタイムが少ない」「(まぶたの裏側から切除すれば)表面に傷がつかない」と利点を強調します。

確かに、そうした手術はあまり腫れないし、表面的には傷はつきません。手技的にも簡単で、出血にさえ気をつければ短時間ででき、きちんと縫わなくてよいので腕のよしあしもあまり関係ありません。する側にとって簡単で、される側(患者さん)にとっても負担が少なく、わかりやすい手術です。(膨らんだところから脂肪を抜いたら平らになった、ときわめて単純な理屈です)

すぐ効果が出て1年ぐらいもつ、という意味では、よい方法なのかもしれません。

でも、患者さんの人生は長いのです。20代で手術を受けたとすれば、あと60年ぐらいはその顔で生活することになります。そうした長期的な視野が、この方法には欠けているように思います。

「いや、自分にとっては今が大切で、5年後10年後のことはそのときに考えればいい。将来不都合が出たら、その時点で脂肪注入でもたるみ取り手術でもすればいい」

なんだか、きちんとした修理をせずに応急処置を重ねて使い続ける機械みたいです。「治療」という観点から見れば、不都合が出たら正常に近づけるのが正しいやり方のように思うのですが、美容手術は内部構造を破壊してもそのときの見た目だけ取り繕えばよいものなのかな?

形成外科を長いことやっていると、美容外科という世界はずいぶん刹那的で、その場限りで、その人の将来に責任を持たなくていい気楽な世界に見えてしまいます。

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