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眼瞼下垂症手術と私(4)

当時寺島先生が行っていたのはいわゆる教科書的な手術でしたが、これは「教育ビデオを撮影する」という目的からも当然であったと思います。

このような術式では、まず瞼の表面をふたえの線で切開し、年配の方の場合は余分な皮膚を数ミリ幅で切除します。その後、瞼板前組織と呼ばれるぬるぬるした、脂肪と筋肉と結合織が混ざったような組織を切除し、瞼板(眼科の検診のときにお医者さんがくるっと裏返すみかんの袋のような形をした板状のもの)にくっついている眼瞼挙筋腱膜を探し出して、腱膜を奥のほうまで剥離しながらたどります。

その後、瞼板のすぐ上に2箇所穴を開けて、挙筋クランプといわれる器具で腱膜と結膜を一緒にはさみ、挟んだ腱膜と瞼板を切り離します。そして結膜と筋膜を分離し、クランプではさんだ幅で筋膜を上のほうまでおよそ2センチ幅弱の短冊状に剥離していくことになります。

筋膜は瞼板の近くでは左右に広がって、イチョウの葉のように、ガチョウの脚のようになっているのですが、上記のような操作を行うと、筋膜の両端を切り落としてしまうことになります。(内角と外角の切り離し、という手術法です。)これをすると、筋膜は引き出しやすくなり、引っ張れば何センチもずるずると出てくるのですが、その反面、固定性が弱まるため瞼板に再び縫いとめるときの調節が難しくなります。

手術中に何度も患者さんに眼を開けてもらって、内側が上がりすぎた、おや今度は外側が、と微調節を繰り返すのがなかなか大変でした。また、クランプで挟んだ部分は結膜と筋膜がくっついたままで、しかもしっかりと金属ではさまれて押しつぶされて(ザメツして)いるので、切り取って捨ててしまわなければなりません。

そうした理由で、私は現在ではこの術式を行うことはないのですが、基本的な手術の修練と瞼の構造の理解には大変勉強になりました。
この方式で私が手術をした患者さんは、おそらく20数人ぐらいであったと思います。

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