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耳の形成外科(6): 柔道耳、レスラー耳

継続して何回も耳を打撲したり、あるいは軟骨が断裂するほど強く打ち付けたりした場合、単に耳の内部に出血するだけでなく軟骨も変形し、潰れたギョウザのような異様な形に固まってしまうことがあります。

たまった血液はいずれ吸収されてしまいますが、断裂した軟骨から移動してきた軟骨細胞や、血腫の中に混じっている各種の幹細胞などが増殖して、変形した形に合わせて軟骨や傷痕の組織(瘢痕)をつくり、ごつごつと硬い塊になるわけです。

こうした耳の手術をする場合は、まずもとの耳がどういう形であったのかを想像し、その耳の形に合わせて耳の縁に当たる部分に切開を入れて一旦軟骨から皮膚を剥がします。そうしておいて、塊の中から再建に使えそうな軟骨部分を切り出して、糸で縫い合わせながら耳の形を組み立てていきます。

場合によっては軟骨が粉々、ばらばらに壊れていて耳のフレームとして使えないことも少なくありません。そんなときは耳甲介という耳の穴に近い部分や反対側の耳から使えそうな軟骨をデザインして切り取り、それと組み合わせます。どうしても耳からだけでは材料が不足する場合は、肋軟骨や鼻中隔軟骨など他の場所から軟骨を採取することも考えますが、他の場所から取った軟骨は耳の軟骨に比べて弾力に乏しくもろいため、できる限り耳の内部での移植に留めています。

この手術は時間もかかり技術も要するので、本来であれば小耳症手術と同程度の手術料であるべきだとも思うのですが、現在のところ通常の耳介形成手術として保険で行っています。(軟骨移植が必要な場合は、その費用も算定しますが、合わせて片耳4~5万円程度で収まると思います)

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