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2013年5月 3日 (金)

一冊だけ残したCOMのお話

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ご覧の通り1971年10月の漫画雑誌である。
COMというのは手塚治虫の火の鳥が創刊号からずっと連載されていたことで有名で、
というより火の鳥を連載するために作られたような雑誌なのだが、この号には羽衣編が載っている。
羽衣編は黎明編から始まる他の長編に挟まれてたった1回だけの読み切りとして書かれた短い作品で、その内容に放射能障害を扱った現在から見ると不適切な表現が見られるということで、その後長らく封印され、単行本にも収録されなかった。
後に収録されたものは、絵は全く同じながら台詞がすべて書き換えられ、別のストーリーになっている。
COMとその後を引き継ぐ事になるマンガ少年は、つい最近までかなりの量を保存していたのだが、引越や仕事の都合などで置き場所がなくなり、すべてゴミに出してしまった。
しかし、COMと同時代的に「漫画を描く」子供として育った私にとって、この羽衣編の初出が載っている号だけは捨てる気にならず手元に置くことにした。
すでに紙は劣化して茶色に変色し埃臭く、雑に扱えばバラバラに折れてしまいそうな雑誌なのだが、他のいくつかのマンガ雑誌とともに、私の本棚の一角を占めている。
私の仕事は他人の体に手を加えて変化させる事なので、どんなに良い出来だと思ってもそれは他人のものでその人が満足してくれるかどうかは自分で決めることができない。たとえ手直ししたくなっても、おいそれとはお願いできない性質のものだ。
手塚のように、自分が納得いくまで何度も描きなおし気に入らなければ別の作品に変えてしまうような芸当はできない。
進む道を間違えたか、などと言っても仕方がないのだが、思う存分気の済むまで自分の作品を描きなおし完成させる事ができた手塚がうらやましいような気がする。

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